虹の街ニュース

名古屋・クアラルンプール補足議定書に対応した国内措置のあり方について(答申案)パブリックコメントを提出しました

遺伝子組み換え作物による生物多様性への悪影響を防ぐために制定された「カルタヘナ国内法」は、生物多様性をきわめて狭く定義しており、GMナタネの自生の広がりを防ぐことができていないことから、カルタヘナ国内法の改正運動に取り組んできました。 
 
生物多様性への悪影響が出た場合の責任と復元のあり方について定められた「名古屋・クアラルンプール補足議定書」の早期批准に向けた政府への働きかけも、食と農から生物多様性を考えるネットワークを通じて行なってきました。
 
補足議定書の批准のための国内措置について審議してきた中央環境審議会自然環境部会遺伝子組換え生物等専門委員会がまとめた答申案に対して、生活クラブ虹の街は意見提出を行いました。
 
提出した内容全文は下記のとおりです。
 

環境省自然環境局野生生物課外来生物対策室 御中
 
― 補足議定書答申案に対する意見 ―
 
2016年11月18日
生活クラブ生活協同組合・千葉 理事長 木村 庸子
 
 
[意見]1
・該当箇所:6ページ、2.「損害」について
(意見内容)
この項の2段落目に、「復元の対象となる『損害』の範囲については、生物多様性の保全を目的として現行法の下で保護されている地域や種の観点から、限定的に考えることが適当ではないか」とされています。
現行のカルタヘナ法で保護されているのは、近縁の野生種に限定されていますが、農作物を含むすべての生物を対象とするようカルタヘナ国内法を改正し、補足議定書への対応についても、復元の対象となる「損害」の範囲に農作物を入れてください。
 
(理由)
遺伝子組み換え作物の世界最大の輸入国である日本にとって、遺伝子組み換え作物の輸入による損害は、目の前に迫った脅威と言えます。私たちが毎年行なっている遺伝子組み換えナタネの自生調査では、セイヨウナタネと野草との交雑がすすんでいることが分かりました。このまま放置すればアブラナ科の農作物との交雑につながりかねません。
4月に行なわれたカルタヘナ法の施行状況の検討についての意見募集の際にも、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会から同じ内容の意見を提出したところ、環境省から示された考え方は、「農作物は、人が野生植物から改良を重ねて作り出した植物であり、人が作り出す環境に適応した植物であることから、野生動植物とは異なるものとして、生物多様性影響評価の対象とはしていません」というものでした。このような現行法の考え方を踏襲すれば、農作物と遺伝子組み換え作物とが交雑したとしても、誰が責任を持って修復に当るのか分かりません。
補足議定書に対応するこの機会に、カルタヘナ法を改正し、復元の対象となる「損害」の範囲に農作物を入れてください。
 
 
 
[意見]2
・該当箇所:6ページ、2.「損害」について
(意見内容)
補足議定書に対応するための国内措置のあり方については、農家や消費者を含む幅広いステークホルダーによる検討を要望します。
 
(理由)
答申案では、この項の4行目で「管理者は復元措置を命じられる可能性があるという負担を負うこととなる」と管理者に配慮する一方で、損害を受ける側の負担への配慮がありません。遺伝子組換え生物等専門委員会の専門家による判断だけでなく、遺伝子組み換え作物の輸入によって直接影響を受ける農家や消費者の意見も聞いた上で、国内措置についてさらに検討してください。
 
 
 
[意見]3
・該当箇所:7ページ、3.「措置命令の対象者」について
(意見内容)
この項の最後の段落に、「適法な使用等によって損害が発生した場合等使用者等に措置を命ずることができない場合については、政府が自ら実行可能で合理的な範囲で復元措置を講ずる必要がある」とあります。政府が安易に措置を講ずるのではなく、「管理者」である開発者あるいは販売者に措置を命じるようにしてください。
 
(理由)
補足議定書の前提として、「汚染者負担原則」があります。また、既存の国内法として「製造物責任法」があり、製造物による汚染の責任は製造者が負う考え方がすでに定着しています。
補足議定書は、カルタヘナ議定書第27条に「改変された生物の国境を越える移動から生ずる損害についての責任及び救済の分野における国際的な規則及び手続を適宜作成する」と定められていることから作られたものであり、適法な使用を前提に作られています。答申案にあるように「復元措置の対象は、違法に遺伝子組み換え生物等を使用等した者等に限定する」とすれば、未承認作物を輸入したようなきわめて例外的な場合にのみ「管理者」に復元措置を命ずることになります。違法、適法に関わらず、「管理者」に復元措置を命ずることができるように国内法を整備すべきです。
補足議定書の第二条のなかで、「管理者」とは、「改変された生物を直接又は関節に管理する者をいい、状況に応じ、国内法によって決定するところに従い」、「改変された生物を市場取引に付したもの、開発者、生産者」「輸出者、輸入者、運送者または供給者をふくむことができる」と定められています。日本の国民の税金を使って日本政府が肩代わりするのではなく、開発企業や販売者に責任を負わせることができるような国内法の整備をしてください。
 
以上

ページの先頭に戻る