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宮城県亘理町での農業再開支援活動

生活クラブ連合会は、NPОホームレス支援全国ネットワークとグリーンコープ共同体の3者で設立した共生地域創造財団を通じて被災地の支援活動をすすめています。今回は、宮城県亘理町での加工用トマトの栽培と製品づくりの取り組みへの支援についてご紹介します。(2013年5月31日掲載)
 

2年目を迎えた加工用トマト定植

 
今年の宮城県は例年になく気温が低い日が続き、津波被災地の各農家はひょう害を心配しながらも、除塩した水田に待望の田植を終え、何もなくなった土地にようやく目立ち始めた真新しいビニールハウスの下で野菜・いちご作りに精を出しています。 
晴れていれば青に白く映える蔵王連山が最も美しく望める宮城県亘理町吉田浜のトマト畑。このところ連日山はガスに覆われ、湿気を含んだ肌寒い風の中、耕起・畝立て・マルチがけ作業がようやく終え、5月16日曇間から久しぶりに陽が差す中、加工用トマトの定植が始まりました。
 

吉田浜に明るい声が飛び交います

 
農事組合法人「マイファーム亘理協同組合(千葉義昭代表)」に集う5人の農家の呼びかけに、被災者中心に浜の女性6人が畑に集まりました。この日は「生活クラブ虹の街」(千葉)・「生活クラブ風の村」・「市川ガンバの会」のメンバー5人と「共生地域創造財団」スタッフが応援に加わり、ここで就労訓練しながら職と住居を得た方も作業の中核となって、今年収穫を計画する4ha・3万本の加工用トマト栽培がスタートしました。
それぞれが、震災以来すさまじい体験をした女性たちです。皆が一堂に集えば震災当時の話にもなり、今だから話せるとっておきの話題に盛り上がります。応援に来たメンバーに教えながら慣れた手つきで植えていき、作業もぐんぐんはかどります。
 
 昨年はすべてが手探りでした。太平洋に沿ってほぼ全面を占めていた「いちごハウス」が大津波を受け、すべて流された畑で、瓦礫撤去から始まり、土壌分析、堆肥・肥料の施肥・・・と、試行錯誤しながらの取り組み。瓦礫は今でも耕運するたび土の中から出てきます。ハウスのパイプ、固定する太いラセン杭、道路のあった周辺には剥がれたアスファルトの破片・コンクリートの塊が集中。一つひとつ手で取り除きながらの作業は今年も続きます。
 

『亘理の真赤な』トマトケチャップとトマトジュースは、亘理農家の気概

 

亘理町は東北一のいちご産地でしたが、ハウスなど58haのうち9割の54haが津波被害を受けています。現在「復興交付金」を使い、栽培ハウス面積約23haと育苗ハウス7haのいちごの大団地を建設中で、9月の定植を目標として工事が進行中です。すでに、契約者は決定していますが、いちご団地は10年以上の生産継続を期待されていることから、現在の手元資金や5年後の買い取り、後継者問題等でいちごの個人営農を断念した農家も数多く、農家の方々や地域の方々の仕事づくりが、ここ亘理でも課題となっています。

そこで、塩害に強い作物として試されたのが加工用のトマトです。震災翌年の2012年春、長野の加工用トマト生産者に指導を受けながら、マイファームメンバー所有の土地に6ha・5万3,000本の苗を植え、各地からの大ぜいの支援のもと、見事なトマトが約130t実りました。このトマトを原料にして、地元ブランドのケチャップとジュースを製品化しました。他と比較して糖度も高く、完熟した真っ赤なトマトから作ったケチャップは、濃厚で深い味わいです。
「加工用トマトづくりは初めてで、手探りで育ててきたが、立派なトマトの実を収穫できて本当にうれしい」と話す農家、津波被害を受けても亘理で頑張っている農家がいることを、全国の方々に知ってほしい。
『亘理の真赤なトマトケチャップ』と『亘理の真赤なトマトジュース』は亘理農家の誇りと気概そのものです。
*生活クラブはトマトケチャップ5,000本、トマトジュース3,000本の販売に協力しました。
 
 

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