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政府の原発推進方針に対する意見書を提出

生活クラブは、1986年に起きた「チェルノブイリ原発」事故をきっかけに、生産者と連携し食品における独自の放射能基準を設けて取り組みを行なっている消費生活協同組合です。2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発の事故で深刻な放射能汚染が広がった以降は、提携生産者への支援、市民団体と連携して原発事故被害者救済や脱原発社会をめざす活動を展開しています。

政府は2022年8月24日に「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で原発の再稼働や運転期間の延長、次世代革新炉の建設による原発の新増設やリプレースなど、原発推進方針を表明したことを受けて、これに対する意見として、内閣総理大臣および経済産業大臣兼GX実行推進担当大臣宛に意見書を送付しました。

生活クラブ虹の街が送付した意見書は以下の内容です。
 

2022年10月18日
内閣総理大臣 岸田文雄 様
経済産業大臣兼GX実行推進担当大臣 西村 康稔 様

政府の原発推進方針に対する意見
 
生活クラブ生活協同組合(千葉)
理事長 福住洋美

私たち生活クラブ生活協同組合は、人間が人間らしく自然と共生して持続的に生きていくために「食料」「エネルギー」「ケア」の自給ネットワークづくりをすすめ、その中のエネルギー政策においては「脱原発」「エネルギー自治」「CO2削減」を基本とし、再生可能エネルギーを「減らす・つくる・つかう」活動と事業をすすめています。2022年7月には、一般社団法人生活クラブエネルギー事業連合を設立し、脱原発・脱炭素をすすめ地域のFEC自給ネットワークを広げる運動を推進しています。

政府は8月24日、「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で、原発の再稼働や運転期間の延長、次世代革新炉の建設による原発の新増設やリプレースなど、原発推進方針を表明しました。このことは、2011年3.11東日本大震災での東京電力㈱福島第一原子力発電所事故後、「原発依存を可能な限り低減する」としてきた政策の転換であり、脱炭素やエネルギー安全保障を隠れ蓑とした原発推進には断固反対します。

また経済産業省・総合エネルギー調査会が検討し原子力規制委員会が容認している原子炉等規制法(炉規法)の改定は、「原発の運転期間は原則として40年で、特別の場合に限って1回20年の延長が認められる」とのルールを撤廃しようとするものです。特に原発の心臓部である原子炉容器は、劣化状況を調べる技術が無く、老朽化した原発の安全性の確認ができず危険です。原発の運転を無原則に延長しようとしている法改正は、容認できるものではありません。

東日本大震災による東京電力福島第一原発の事故は、11年半たった今も収束していません。帰還困難地域解除後も、多くの人たちが故郷を離れざるを得ない状況です。地元との約束を無視して、処理水(トリチウム水)の海洋放出をすすめるという問題も抱えています。核廃棄物の処理の問題でも核燃料サイクルはもはや破綻しています。
ロシアによるウクライナのザポリージャ原発への攻撃で明らかになったように、原発は日本にとっても内に向けた核兵器となります。

昨年、10月に第6次エネルギー基本計画が閣議決定され2030年、2050年にむけた国のエネルギー政策を決定しています。その計画の柱は再生可能エネルギーの主力電源化を最優先してすすめることであり、原子力発電所の新増設やリプレース(建て替え)などは計画に入っていません。また政府が掲げている「使用済み核燃料」の処理が破綻しており今後の見通しもなく、17基の原子力発電所を再稼働すると途端に「使用済み核燃料」の置き場がなくなります。この問題の解決を示さず「電力需給逼迫」克服ということはできません。

また、気温の上昇を一定の量に抑えるためには排出できる二酸化炭素(CO2)の量に限りがあり、産業革命以来の気温上昇を1.5℃に抑えるなら、2050年の排出量ゼロだけでなく、2030年までに大幅に減らさなければならない。原発の新増設は計画から運転開始まで10年以上がかかることから、2030年までの大幅なCO2削減には貢献しません。

今回の政府の場当たり的な原発推進への方針転換は危険を伴い、本質的な電力需給逼迫の解決にはなりません。原子力発電の問題も電力自給逼迫もその責任は国にあります。本質的な問題の解決を求めます。生活クラブは、これら巨大なリスクを抱える原子力発電は直ちに廃止することを求めます。

2030年までにCO2の大幅削減を進めるためには、計画から運転開始までの期間が短い再生可能エネルギーの拡大とエネルギー利用の効率化をすすめるべきです。
 
以上

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